ニコンD6とD4を比較レビュー

2020/7/1更新

Nikon D6 vs D4を比較

Nikon D6、D4の前面を比較
Nikon D6(左)、D4(右)の前面。見た目はそっくり(筆者撮影)

2012年3月15日に発売されたNikon D4と、2020年6月5日に発売されたNikon D6を比較する。Nikonは4年に1度のオリンピックイヤーにNikonのフラグシップ機(いわゆるD一桁機)をメジャーアップデートしている。そして東京オリンピックイヤーの2020年6月6日に最新のNikon D6が発売された。4年前の2016年3月にはNikon D5、さらに4年前の2012年3月に発売されたのがNikon D4である。

筆者は2020年2月現在、Nikon D4を実戦利用し続けていたNikon D4は今でもまだまだプロカメラマンの仕事として使用できる信頼できる高スペック機である。Nikon D4が発売されて8年が経過した今、新発売されたNikon D6を実際に購入した結果。Nikon D6がD4と比べてどれくらい進化したのかを比較検証してみる。

Nikon D4を使用し続けて約8年、途中、Nikon D4s、Nikon D5が発売されたがNikon D4に十分満足していたのでNikon D4を使い続けていた。スクールフォト撮影の現場では未だにNikon D4を使っているプロカメラマンに良く出会う。逆にNikon D5を使って居るカメラマンにはまだ出会ったことが無い。

フラッグシップ機は高額なので発売毎にカメラを買い換える訳にはいかない。筆者はさすがにD4を使い続けて8年にもなるので今回思い切ってD6を購入した。D4からD6を買い増しして良かったこと、悪かったことをここでレビューする。

そうそう、D4使いであったが最近では、D4よりもD850をメイン機として使うことが多かった。Nikon D850も神機といえるほどの良いカメラマなので、よければ下記記事も参考にして欲しい。

関連記事:
D6+D850、万能説
Nikon D6 vs D850を比較

Nikon D4からNikon D6に買い換えて(買い増しして)良かったこと

D6は、白いものが白く写る、素晴らしいホワイトバランス性能

Nikon D4はAWB(オートホワイトバランス)が少々おかしかった。白いものが黄色く写るのだ。屋外で撮影しても影の部分の色味が少しおかしくなったりした。室内撮影する際も照明の色と窓から入る色が異なるミックス光環境で撮影すると撮影する写真毎にホワイトバランスがおかしくなることもあり、撮影した写真を納品前にセレクトする際、手動でホワイトバランスを調整するレタッチを行っていた。

それが、なんと、D6で撮影した写真は一切ホワイトバランスの調整が不要。AWBで撮影したそのままの色温度設定で全く問題無く納品することができるようになった。

ちなみに、Nikonのデジタルカメラで撮影すると黄色くなるというのは昔の話で、Nikon D4s以降は白いものが白く写るようになったという。しかし筆者はフラッグシップ機を購入するのがNikon D4以来、(D4s、D5をスキップして)約8年ぶりなのであまりの進化に感動している。

Nikon D6、圧倒的なAF性能

室内撮影の若干くらい場面でも、迷うことなく、シャッターボタンを半押しした瞬間に、「スー」ではんく「クッ」と本当に一瞬で、気持ちよいくらいにフォーカスがあう。D4とは比較にならない程、異次元のAFの早さである。

AFは早さが早くなっただけではない。フォーカスポイント数の増加、全点クロスセンサー、全点選択可能、シングルポイント時にも若干広めのでででフォーカス可能、グループフォーカスカスタマイズなど、様々な機能が増えており、このAF性能の進化とホワイトバランス性能の進化だけで十分70万円以上の(D6を購入できる金額分)の価値があると思う。

Nikon D6、高感度性能が素晴らしい。Nikon D4からISO感度が大幅向上した

最近はD4の他D850も使って居たが、今D6を使ってみてその高感度性能に驚いた。室内撮影を行う際、ISO 1600やISO 2500に設定しても全くノイズを感じない。午睡の園児を撮影する際、遮光カーテンが閉じたかなり暗い室内でISO12800を使ってみたが十分使える画質である。Nikon D4、D850と比較すると余裕でシャッター2段以上向上している。感動レベルの高感度性能である。

Nikon D4の常用感度上限はISO 25600であったが、Nikon D6の常用感度はISO 102400と、Nikon D4と比べると常用感度が4倍に向上した。筆者の一般的な使用感度は最大ISO 6400であるが、常用感度が4倍に性能アップしたことにより、暗い場面で撮影する際に、シャッター速度を4段速められる、または絞りを4段しぼることができるので、より失敗しない写真を撮影できることになったメリットは大きい。

画素数が向上、トリミング耐性が向上

Nikon D4の1600万画素と比較すると、Nikon D6は2070万画素まで画素数が増えた。画素数で比較すると、いまいちどれくらい進化したか分からないのでピクセル数で比較してみる。D4は4928×3280ピクセル(サイズL:16.13 M)、D6は5568×3712ピクセル(サイズL:20.67 M)である。

長辺ピクセル数がD4の4928からD6の5568ピクセルへ約13%向上している。筆者の撮影業務では、一般的な納品画素数が長辺2500ピクセルであるので2500ピクセルを基準に比較すると500ピクセル以上、つまり20%以上もトリミング耐性が向上したのだ。

撮影した写真をトリミングして納品する際、トリミングの柔軟度が20%も上がったのでより良い写真を納品できるようになった。

Nikon D6、連続撮影可能コマ数が増えた

Nikon D4の連続撮影可能コマ数が75枚であるのと比べると、Nikon D6の連続撮影可能コマ数は200枚に増えた(Nikon D5も200コマ)。Nikon D4で連写撮影していると、バッファフルになってしまい撮影速度が極端に遅くなってしまい(1枚書き込み完了する毎に1枚撮影できるようになる)撮影チャンスの場面で焦ってしまうこともあった(ちなみに、Nikon D4でもRAW保存せずにJPG保存のみの場合は170~200コマ連続撮影できた)。

14ビット圧縮RAWで保存する場合、Nikon D4の連続撮影可能コマ数が75枚であるのと比べると、Nikon D6の連続撮影可能コマ数は146枚に増えた。Nikon D4で連写撮影していると、バッファフルになってしまい撮影速度が極端に遅くなってしまい(1枚書き込み完了する毎に1枚撮影できるようになる)撮影チャンスの場面で焦ってしまうこともあったがNikon D6は連続撮影可能枚数がNikon D4の2倍以上に増えたと同時にメモリカードへの書き込み速度も大幅スピードアップしたので、たとえバッファフルになってしまった場合もバッファが開放されて連続撮影できるようになるまでの時間が大幅に短縮されストレス無く撮影できるようになった。

通常のスポーツ撮影では、タイミングを見ながら1ショット、または2ショットずつ撮影(目つぶり対策)することが多いが、例えばマラソンランナーの日本記録確定のゴールの瞬間など、決定的瞬間を最高のタイミングで撮影したい時に連写を使うこともある。その瞬間の撮影を逃したら2度と撮影することができない場面をNikon D6は撮影することができるのだ。

Nikon D6、圧倒的に良いシャッターフィーリング

現在メイン機でNikon D850を使っているが、やはりフラッグシップ機のシャッターフィーリングが素晴らしい。Nikon D850のシャッター音は「パタン」という音であるが、Nikon D4は「カシャン」と鳴る。Nikon D850と比べると少々金属音が含まれ、かつ、Nikon D850よりも、シャッターボタンを押してシャッターが切れるまでのスピードが一瞬早い。そして、Nikon D5はNikon D4以上に良い音になったと感じていたが、Nikon D6はそれを上回る官能的なシャッター音を鳴らす。

Nikon D6は、ひれ酒で例えると「ひれ酒の中に入っているひれ」のようなものだ。「ひれ酒」の「ひれ」は香りが素晴らしい。香りとは、数字では表すのは難しいが心に訴えるものがある。Nikon D6のシャッター音、シャッターフィーリングも「ひれ酒のひれ」ように素晴らしい。目の前、鼻の前に持ってきただけで「良い香り」と感じるくらい、「なぜかわからないけど心に訴える魅力」がある。「ひれ酒のひれ」は、ただそこにあるだけで、日本酒がより一層と美味しくなる。ひれ酒を飲み干した後も、追酒をするだけで、何杯でも美味しいひれ酒を飲むことができる。Nikon D6のシャッター音もひれ酒と同じだ。そのシャッター音を聞いているだけで、何杯でもお酒を飲める気がする。「ひれ酒のひれ」と「Nikon D6のシャッター音」を比較すると、「ひれ」以上に素晴らしいことが「そのシャッターがお金を生み出す」ということだ。「ひれ酒」は、飲めば飲むほどお金が出ていく。しかし、「Nikon D6のシャッター」はシャッターを切れば切るほど「お金を生み出す」。お金を生み出すから、生み出したお金で「ひれ酒」を飲むこともできる。

たとえ、Nikon D6、Nikon D850で撮影した写真の品質が同じであったとしても、この「Nikon D6のシャッターフィーリング」だけは、決してNikon D850で味わうことができない、Nikon D6のオーナーだけが味わうことができる特別なシャッターフィーリングなのである。

Nikon D6、Nikon D4のバッテリー、充電器をそのまま使用できる

Nikon D4のバッテリーはEN-EL18、Nikon D6のバッテリーはEN-EL18cである。型番は少し違うが共通してバッテリーを使うことができる。充電器も共有できる。機種が変わっても同じバッテリーを使うことができるのは嬉しい。

D6、GPS機能を内蔵

D6にはGPS機能が標準で付いた。撮影した地点の位置情報を写真に記録できる機能はiPhoneやAndroidではおなじみの機能であるがようやくニコンのフラッグシップ機にもGPSが搭載された。

筆者の使い方ではに位置情報を埋め込む必要性は感じないが、GPS電波を使ってカメラの時刻を自動的に合わせることができる機能は何気に便利である。

D6、Wi-Fi機能を内蔵

Nikon D4は外付けのワイヤレストランスミッターWT-5を使用することによりWi-Fi機能を使えた。D6はWi-Fi機能が内蔵されたので外付けのワイヤレストランスミッター(WT-6)を使用せずにWi-Fi機能を使えるようになった。

8年前にNikon D4を導入した際には、ワイヤレストランスミッターWT-5も購入して室内での商品撮影時に使っていた。しかし、現在では、USBでPCと有線接続してCaptureOneというソフトを使いテザー撮影するのでWi-Fi機能は使う機会が無くなった。

実際にD6の内蔵Wi-Fiを使って撮影テストを行ってみたが、RAWデータ転送には(データも大きいので)転送まで一瞬のタイムラグがありリズム良く撮影できるとは感じなかった。室内で商品撮影する際にはUSB有線接続を使ったテザー撮影、または有線LANケーブルを使用したデータ転送が早くて便利なので、現在のところD6の内蔵Wi-Fi機能の必要性は感じていない。

スマホアプリを使ってリモート撮影やデータ転送もできるので、少ない枚数撮影する方には役立つかも知れない。

Nikon D6とNikon D4のスペックを比較

製品名
Nikon D6 Nikon D4
発売日
2020年6月5日 2012年3月15日
有効画素数
2082万画素
※スポーツフォト、スクールフォト、報道の分野などでは2020年現在でもNikon D4の1620万画素でまだまだ不足は感じない。画素数が増えるとデータが大きくなり取扱(保管、転送、レタッチなど)に困ってしまうこともあるので2082万画素という必要十分な画素数に抑えてくれたのはありがたい。
1620万画素
記録画素数
5568×3712ピクセル(サイズL:20.67 M)
4176×2784ピクセル(サイズM:11.63 M)
2784×1856ピクセル(サイズS:5.17 M)
※上記以外に、各種クロップ撮影可能
4928×3280ピクセル(サイズL:16.13 M)
3696×2456ピクセル(サイズM:9.08 M)
2464×1640ピクセル(サイズS:4.02 M)
センサーサイズ
35.9×23.9mm 35.9×23.9mm
記録媒体
CFexpressカード(Type B)、XQDカード XQDカード、コンパクトフラッシュカード(Type I、UDMA7対応)
連続撮影速度
高速連続撮影:約10~14コマ/秒
低速連続撮影:約1~10コマ/秒
静音撮影:約1~5コマ/秒
高速連続撮影:約10~11コマ/秒
低速連続撮影:約1~10コマ/秒
連続撮影可能コマ数(ロスレス圧縮14ビットRAWの場合)
146 75
最高速度連写での連続撮影可能秒数(ロスレス圧縮14ビットRAWの場合)
10.4秒 6.8秒
シャッター
電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター、電子先幕シャッター、電子シャッター
無音撮影可能
電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッター
シャッター速度
1/8000~900秒 1/8000~30秒
シャッター耐久回数
40万回 40万回
オートフォーカスポイント
105点、105点(クロスセンサー) 51点、15点(クロスセンサー)
オートフォーカス検出範囲
-4.5~20EV -2~19EV
測光センサー分解性能
180Kピクセル 91Kピクセル
測光範囲(マルチパターン測光、中央部重点測光)
-3~20EV -1~20EV
ISO感度(常用感度)
ISO 100~102400(ステップ幅:1/3、1/2、1ステップに変更可能)
ISO 100~12800(ステップ幅:1/3、1/2、1ステップに変更可能)
ISO感度(拡張感度)
ISO 50
ISO 204800~3280000
ISO 50
ISO 25600~204800
使用電池
Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL18c 1個使用
※EN-EL18cの代わりにEN-EL18b/EN-EL18a/EN-EL18も使えます。ただし、EN-EL18を使用したときはEN-EL18c/EN-EL18b/EN-EL18aを使用したときよりも撮影可能コマ数(電池寿命)が減少します。
※Nikon D4と同じ電池が使えるって嬉しい。
Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL18 1個使用
電池寿命(撮影可能コマ数)(CIPA規格準拠)
3580 2600
質量(バッテリーおよび記録カード2枚を含む)
1450g 1340g
寸法(mm)
160×163×92 160×156.5×90.5

Nikon D6とNikon D4、ボディーの形を比較

Nikon D6、D4のボディを比較
Nikon D6(左)、D4(右)のボディーを比較1(筆者撮影)

背面左側の、MENUボタンの左上の形状が若干異なる。D6の方がRが緩やかになっており指で触れると気持ちよい。

その上のボディの肩部分もD6の方がRが緩やかな形状になっている。

ペンタプリズム上部分は、D3、D4、D5は全てマグネシウム合金で覆われていたが、D6は上部に触れると金属の冷たさを感じないので恐らくプラスチックなどの樹脂製になっているものと思われる。なお、これはペンタプリズム上に入っているGPSアンテナが衛星からの電波を受けるためと思われる。

背面から見た左肩部分にあるモードボタン、モードダイヤルの丸い出っ張りが、D6はD4やD5と比べると若干背が高くなっている。これは内部にWi-Fiアンテナが入っているためだ。

なお、上記写真で芸が細かいなーと思う点が各ボタンの照明機能である。シャッターボタン位置にある電源ボタンを電源ONからさらに右へ回すとカメラボディの各ボタンの白い箇所が明るく点灯し、暗い場面でボタン操作がしやすくなるのだ。さらに、上記写真のモードダイヤル手前に見える白い縦線の箇所、ここも光るのだ。この線が光ることによりレリーズモードダイヤルの文字(S、CL、CH、...など)が照らされて現在設定値が分かる。

ボタン照明のお話ついでに、背面画像モニターの下にある横長の液晶画面も照明ONで光るのだが、D4は青っぽい光で光るがD6は白い光で光る。見やすくするために色が変更になったのかも知れないが、筆者は未来的に青緑色に光るD5の照明色が好きだった。

Nikon D6、D4のボディ彩度を比較
Nikon D4(左)、D6(右)のボディーを比較2(筆者撮影)

今度は左でD4で右がD6だ。D6はサイドのエッヂが無くなり全体に丸みを帯びてふっくらとした女性的な形状になった。

D6の上部はペンタプリズム上にGPSアンテナが入った分、少し背が高くなった。

Nikon D6とNikon D4、操作方法を比較

Nikon D6、D4の背面を比較
Nikon D6(左)、D4(右)背面、操作方法はほとんど同じなので安心して使える(筆者撮影)

Nikon D6、D4の各ボタンの配置、機能、形までほとんど同じである。D6を入手した今でも筆者は2世代前のD4をサブ機、バックアップ機として使っている。同時に使っても、ボタンの配置がほぼ同じなので迷わず操作できるのはありがたい。

Nikon D4⇒D6を比較すると、改善されて使い勝手が良くなった点がある。それは(実はD5の時点で既に改良されており、D5=D6であるが)シャッターボタン近くにある「ISO」ボタンである。D4の常用ISO感度がISO 12800までだったのに対して、D6はD4と比べて絞り(シャッター速度)3段分高感度になっており、常用ISO感度はISO 102400である。その分、暗い場面でシャッター速度を稼ぎたい時、もう少し絞り込みたい時はISO感度を思いっきり上げて撮影する、という使い方もできる。D4で撮影する際はISO感度自動設定、ISO感度上限 6400に設定して撮影していたが、D6は常用ISO感度が高くなった分、もう少しISOを上げても画質は破綻しないだろう(まだ実写テストは行っていない)。

筆者はD850も使用しており、今回のD6と同様にシャッターボタン近くにISO感度設定ボタンが付いており(ちなみに、D4は背面液晶の下にISOボタンがある)、撮影時にISO切り替えして撮影するのが便利と思っていた。D6を手に入れて、D850と同じ位置にISOボタンが付いたことにより、暗い場面を含めて室内写真撮影するのが待ち遠しい。

Nikon D4とNikon D6の比較詳細

Nikon D4(2012年3月発売)からNikon D6(2020年3月発売に買い換え、または買い増しすると何が変わるかを具体的に分かりやすく解説する。

高感度耐性が4倍に向上

Nikon D4のISO感度「ISO 100~12800」からNikon D6)は「ISO 100~102400」まで、高感度耐性が4倍に向上した。Nikon D4で撮影する場合、室内でのスクールフォト撮影やステージ撮影時に最大ISO感度12800の半分のISO 6400まで使用することがある。Nikon D6になると基本ISO感度がISO 102400まで対応できるのでISO 6400で撮影する場合も余裕を持って撮影できるというメリットがある。Nikon D5(2016年3月発売)でもISO 102400まで対応していたが、Nikon D5を購入しなかったNikon D4ユーザーにとってはNikon D6へ買い換えメリットは非常に大きい。

AF性能が大幅に向上

Nikon D4と比べるとNikon D6のAF性能は大幅に向上した。Nikon D6にはOVFを使用するカメラでは世界初であるという瞳認識AF機能が搭載された。実際に仕事の現場でNikon D6を使ってAF性能比較は後日こちらのページで報告する。

有効画素数が1620万画素から2082万画素に向上した

Nikon D4とNikon D6を比較すると、有効画素数が1620万画素から2082万画素に向上した。一般ユーザー向けにはやれ4500万画素の高画素機、やれ6000万画素の超高画素機だの、画素数が何万画素あるかをアピールしているが、職業カメラマンにとって、撮影するジャンルによっては高画素を絶対的な魅力とは思わない。どちらかというと、画素数が多くなりすぎよりも、画素数は必要十分の上で高感度耐性を上げたり、連写性能を上げたり、またはカメラの信頼性を上げてもらう方が嬉しいこともある。

Nikon D6とNikon D4の画素数をピクセル数で比較すると次の通りである。

製品名
Nikon D6 Nikon D4
撮像範囲〔FXフォーマット(36×24)〕の記録画素数
5568×3712ピクセル(サイズL:20.7 M)
4176×2784ピクセル(サイズM:11.6 M)
2784×1856ピクセル(サイズS:5.2 M)
4928×3280ピクセル(サイズL:16.2 M)
3696×2456ピクセル(サイズM:9.1 M)
2464×1640ピクセル(サイズS:4.0 M)

スクールフォト、スポーツ写真などの販売用写真撮影の分野では求められるピクセル数は「長辺」2250~3000ピクセル程度である。Nikon D4もNikon D6も(Nikon D850などの高画素機と比べると)高画素になりすぎずに本当に丁度良い画素数である。Nikon D4と比べてNikon D6は各辺の画素数が約10%程度向上しているのでトリミング耐性が約10%程度向上した。

高画素機であるNikon D850と比べると、画素数が少ない分Nikon D6の高感度耐性が非常に高く、暗い場面で撮影する場合や動きのある場面で撮影する場合はNikon D4やNikon D6などのフラグシップ機が正にベストな選択であると言える。

GPSが搭載された

Nikon D6になり、ニコンのフラグシップ機として初めてカメラボディ内にGPSが搭載された。GPS機能を使うことにより、撮影位置を写真内にデータとして記録するだけでなくカメラの時刻合わせも自動で行うことができるようになった。フラグシップ機といっても、Nikon D4を何日も使って居ると微妙に秒単位でカメラの時計がずれることがあた。スクールフォトやスポーツ撮影の現場で複数のカメラ、複数のカメラマンを使って撮影する場合、全てのカメラを秒単位で時刻合わせをする。販売時に、撮影日時順に写真を表示させるためだ。Nikon D6はGPS機能を使うことにより正確な時刻データで撮影できるので撮影前の時刻合わせをする必要は無い。

位置情報が写真内に記録できることにより後で写真を整理する際にも、どこで撮影した写真かを心配する必要は無い。ただ、ちょっと気になるのはGPS機能を使う場合のバッテリー消費量である。カタログではGPS利用による電池の減り具合が分からないため、実際にNikon D6の実機を使って検証を行ってみたいと思う。

バッテリー、XQDカードがそのまま使える

Nikon D4のバッテリーはEN-EL18という型番のLi-ionリチャージャブルバッテリーを使う、Nikon D6のバッテリーはEN-EL18cである。型番がほぼ同じであることが分かる通り、Nikon D6で使うEN-EL18cはNikon D4のバッテリーEN-EL18のマイナーチェンジ番で形状は同一であり両者でバッテリーを共通して使うことができる。Nikon D6でEN-EL18を使うと最大撮影枚数が若干少なくなる(バッテリーの持ちが若干悪くなる)とのことであるが、それ以上に共通でバッテリーを使えるというメリットの方が大きい。Nikon D4、Nikon D5を使っているユーザーはNikon D6へ買い換え、または買い増しした際も新規で予備バッテリー(EN-EL18cの実売価格は約17000円)を購入する追加費用を負担しなくて済むからだ。

Nikon D4でXQDカードを使って居たユーザーはNikon D6でもそのまま使用できる。ちなみに、Nikon D4の一つ前のNikon D3は記録媒体としてコンパクトフラッシュを使用していたがNikon D4はXQDカードとコンパクトフラッシュの両方が各1スロットずつ使えた。Nikon D4とD6の間のNikon D5は、XQDカード×2、またはコンパクトフラッシュカードx2の2種類のスロットから選ぶことができた。

Nikonフラグシップ機を買い換え、または買い増しする際に、バッテリーや記録媒体など、カメラを使用する上での必需品をそのまま共通で使い続けられることは大きなメリットであり、利用者のことを考えるニコンの開発姿勢は大きく信頼できるものである。

カメラボディが110g重くなった

バッテリー、記録媒体込みの質量はNikon D4が約1340g、Nikon D6が約1450gでありNikon D4と比べると約110g重くなった。フラグシップ機は重さは、信頼度と求められる性能の裏返しだ。110g重くなった分性能は高くなり、信頼度が上がったと考えれば良いだろう。

Nikon D6と一緒に使われることの多い大三元レンズの重さを含めて、実際の撮影時の重さを比較すると次の通りである。

製品名
Nikon D6 Nikon D4
最新の標準ズームレンズ Nikon AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR利用時の質量
2520g 2410g
Nikon D4発売時の最新標準ズームレンズ Nikon AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED利用時の質量
2350g 2240g
最新の望遠ズームレンズ Nikon AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR利用時の質量
2880g 2770g
Nikon D4発売時の最新望遠ズームレンズ AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II 利用時の質量
2990g 2880g

上記の通り、最新の標準ズームレンズ f/2.8を使用する際の重さはD6の方がD4と比べて280gも重くなった。しかも、通常の撮影時には、カメラ2台に各標準・望遠ズームレンズを付けて首掛け、肩掛け2台体制で撮影を行うのでカメラとレンズの重さは本当に身体にダメージを与える。特にスクールフォト撮影時には、子供目線で撮影するためにしゃがんで撮影、歩いて移動の繰り返しなので体力勝負である。

できればカメラもレンズももっと軽くして欲しいと願う。しかし、その重さの中には信頼度と高性能が詰まっているので我慢することにする。軽いレンズと軽いボディーが欲しい方は、ミラーレスカメラを買えば良いと思う。より良い瞬間のより良い写真を求めるプロカメラマンにとって、勝負の時にはフラグシップ機で戦うのだ。

関連リンク:Nikon D6 公式ページ, Nikon D4 公式ページ

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